内部構造デザインが引き出すリン酸塩ガラスの濡れ性

ガラスの濡れ性制御技術は、これまでに表面修飾や凹凸構造の付与が行われます。当研究室ではガラス内部の構造そのものを巧みにデザインすることで、表面機能を引き出す新しいアプローチに挑戦しています。リン酸塩ガラスにアルミナを導入することで、ガラス中のリン酸鎖構造が変化し、それに伴い濡れ性が大きく変わることを明らかにしました。特に、リン酸ガラスのネットワーク構造において、 Q³構造よりもQ²構造が優勢になると、ガラス表面の親水性が向上することを発見しました。この成果は、ガラス構造を設計することで濡れ性を自在に制御できる可能性を示すもので、構造と表面機能化の関係解明を目指しています。

2025年卒 今井 敦也さん、杉江 紗矢香 (D2)、陳 寿妟(M2)と本学 応用物理分野の田村 友幸 先生との研究成果で、Materials Chemistry and Physics (https://doi.org/10.1016/j.matchemphys.2025.131716)に論文が掲載されました。

剪定枝の再資源化:褐炭級固体燃料への変換技術

果樹栽培において発生する剪定枝は、一般的に廃棄物として処理されていますが、本研究ではこれらをバイオマスエネルギー資源として有効活用する手法を検討しました。剪定枝は高い水分含有率を有するため、そのままでは燃料利用が困難です。しかし、水熱処理技術を適用することで、この課題を克服することが可能となりました。さらに、処理条件の最適化により、褐炭に相当する高位発熱量を持つ固体燃料への変換に成功しました。本成果は、農業廃棄物の有効利用を通じて循環型社会の構築および持続可能なエネルギーシステムの実現に貢献するものであり、今後は他のバイオマス資源への応用展開を想定しています。

これは上田 裕太さん(M2 創造工学プログラム)による研究成果で、Materials (https://doi.org/10.3390/ma18153425)に論文が掲載されました。

有機溶媒で変わるアルミナの構造とリン酸吸着性能の関係

この研究では、アルミナ(Al2O3)を有機溶媒中でボールミル処理することで、アルミニウムの配位数など原子レベルでの変化が起こることを明らかにしました。こうした構造変化によって、リン酸イオン回収特性を向上させることに成功しています。この構造変化は使用する有機溶媒の種類によって制御できることから、材料の表面特性を簡便な方法で調整する手法としての応用が期待されます。今後は、水処理や資源回収などの分野への展開も視野に入れています。

これは2023年卒 藤本 稜也さんと、本学 環境セラミックス分野の漆原 大典 先生との研究成果で、Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects (https://doi.org/10.1016/j.colsurfa.2025.137417)に論文が掲載されました。

学会発表(2024年11月、12月)

日本セラミックス協会 2024年度日本セラミックス協会東海支部学術研究発表会(2024年12月7日)において、杉江 紗矢香 (D1)が口頭発表を行いました。発表、お疲れ様でした。

発表題目:もみ殻を用いたマイクロ-メソ細孔を持つ炭素材料の合成

第149回無機マテリアル学会学術講演会(2024年11月7日)において、陳寿妟(M1)が口頭発表を行いました。発表、お疲れ様でした。

発表題目:フミン酸回収によるハイドロガーネットとの複合化とアンモニアガス吸着特性

学会発表(2024年9月)

日本セラミックス協会 第37回秋季シンポジウム(2024年9月12日)において、近藤 優樹 (M2)が口頭発表を行いました。発表、お疲れ様でした。

発表題目:Ca-Al 系層状複水酸化物の複数アニオンによる水蒸気吸脱着挙動

バイオマスを用いた機能性材料の開発

バイオマスを炭素系材料に変換する手法として知られる水熱炭化では、得られる材料に細孔が少なく、比表面積が小さいという課題がありました。この研究では、水熱炭化時の温度と溶媒を制御することで、原料の加水分解を促進し、細孔形成の阻害因子となる微小球体の形成を抑制できることを見出しました。その結果、従来の水熱炭化手法では実現が難しかったメソ細孔と100 m2/gを超える比表面積を併せ持つ材料を開発することに成功し、ガス吸着材としての利用が期待できます。

杉江 紗矢香(D1)による研究成果で、Environmental Science and Pollution Research (https://doi.org/10.1007/s11356-024-34217-6)に論文が掲載されました。

学会発表

日本セラミックス協会 2024年度第6回資源・環境関連材料部会討論会(2024年7月4日)で、上田裕太 (M1)が口頭発表を行いました。発表、お疲れ様でした。

発表題目:剪定枝の水熱炭化によるバイオマスエネルギー資材化

学会発表

日本セラミックス協会 東海支部 2023年度学術研究発表会(2023年12月2日)で、横井敬典 (M1)が口頭発表を行いました。発表、お疲れ様でした。

熱処理によるケイ酸塩ガラスの濡れ性制御

複雑な処理を必要としないガラスの濡れ性制御技術として、熱処理によるアプローチを検討しています。ケイ酸塩ガラスへの熱処理による濡れ性への影響を調べた結果、熱処理をすることで、水だけでなく、エチレングリコールのような溶媒でも、自発的にガラス上で液滴が濡れ広がることを見出しました。これは表面状態の変化に起因するものと考えており、動的な濡れ性を制御する表面設計への展開を検討しています。

2022年卒 松浦 楓我さんによる研究成果で、Materials Chemistry and Physics (https://doi.org/10.1016/j.matchemphys.2023.128871)に論文が掲載されました。